上智大学 外国語学部 ロシア語学科 2008年度卒
自動車メーカー
海外で発生した車両の不具合を調査し、不具合原因の真因を究明すること。そして製造ラインに対策部品を投入する。担当市場は、ロシア、ウクライナ、アゼルバイジャン、カザフスタンの4カ国。具体的な業務の流れは以下の通り: a) 海外特約店から連絡が入る(例:ショックアブソーバーの破損が30件発生している、エンジン内部から打音が聞こえる) b) 空輸で壊れた部品を日本に送ってもらう c) 情報収集(発生状況、発生地域の分析、動画や写真の入手など) d) 回収部品を技術者•開発者と調査 e) 不具合原因が判明→対策品の作製依頼(不具合原因不明→調査の継続 or 海外に飛んで、現地で調査)
5年(2008年時)
企業が英語力を求めるという姿勢は当然であるが、一方で、ロシア語の能力は業務の上で大きな強みになる。ロシア語は、運用できる社員が大企業でも数人しかいないため、商社、メーカー、貿易等の分野でロシア語専攻の学生は、貴重な人材として重宝され得る。ロシア語の能力は、a) 現地調査、b) 情報の入手、c) 現地人との人間関係の構築の点で大きな貢献をもたらしてくれる: まず、a) 現地の工場や支店に行くと、英語ができる人はほとんどいないため、ロシア語で調査やインタビューの実施が可能である。ただ、b) 同行するロシア人に英語で通訳してもらうこともできるが、一度英語を介することで情報の精度は落ちてしまう。仮にロシア語ができれば直に現場の情報を受け取れる。また、c) 現地人にとっては母語であるロシア語でやり取りをしていると、業務が円滑に行えるだけでなく良好な人間関係を築ける可能性がある。
ロシア語力だけでは会社から高い評価は得られない。学生時代を通して、趣味、サークル活動、留学、ボランティア、アルバイト等から得た経験を現場に活かす能力も必要になる(例えば、リーダーシップの発揮や人間関係の構築など)。語学力は、課された仕事を遂行するための『道具』に過ぎないことを忘れないでほしい。また、ロシアに特化することはすばらしいが、会社からは「偏った人間」と誤解されてしまう恐れがあるので、バランス感覚を忘れずに大学生活を送ってほしい。
何か1つに絞らずに、インターネット、OB/OG訪問、大学の就職課などすべてを有効に活用してください(インターネットで調べれば、素早く手軽にある程度の情報は得られますが、OB/OG訪問の方が実情に近い情報が聞けるでしょう)。
ただ、ロシアの現地法人で働きたい場合、そういった情報を持っている人はなかなか見つかりません。手始めに当サイトに掲載されている東洋経済の一覧等を参照するとよいでしょう。
大学の学習を通して、ロシア語文法、会話表現、そして語彙をしっかり身につけていれば、業務をロシア語で行うことは可能である。自分の経験則から言うと、新社会人に立ちはだかる問題は語彙力の向上だと考える。ビジネス文書や報告書には、基本語彙とは毛色の異なる専門用語が散りばめられているためである。業務に求められる用語を覚え、ある程度、業務の経験を積めば、ロシア語を実践に活かすことができるであろう。