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C. N.さんの場合

出身学部、学科

外国語学部 ロシア学科、2008年度卒業

勤務先の業種

自動車メーカー

業務内容(ロシア関連業務、それ以外の業務)

海外営業部で旧ソ連諸国向けの市場開拓、販売を担当。販社選定、販社契約、商品の提案、受注、生産手配、出荷指示、在庫管理など、業務の幅は広い。一般的な業務の流れは以下: a) 旧ソ連のA国は近年経済成長が著しいが、まだ販社が無い。提携商社と共に現地に出張し、地場の自動車ディーラー数社と面会する。 b) 経営基盤のしっかりしたAA社と組むことに決定。互いの利害を主張し合いながら何度もドラフトをやり取りした上で契約を締結。 c) A国の法規やトレンドに合った商品を提案するため、商品部のスペシャリストと共に現地へ出張。市場調査をした上で販社に提案し、モデルと仕様を決定。 d) 帰国後すぐに見積書を作成し、上司の承認を得た上で販社へ送付。値引き要求が入り、価格交渉の為に上司と共に再び現地に出張。注文台数に応じた値引き率を設定することで合意。 e) 現地から注文書を受け取ったら工場へ生産手配をする。 f) 商品の完成に合わせて出荷手配を行う。 g) 初出荷の仕向けなので、出荷後現地に到着したら輸送中の故障や破損が無いか、梱包のスペシャリストと共に出張して検品する。 h) その後は毎月確実に受注、生産、出荷できるようルーティーンワークでフォローしていく。

ロシア語の学習歴

5年(2008年時)。大学3年生の時に一年休学してモスクワに留学

ロシア語ができることはどのような「強み」になるか

ロシア語が出来なくても、旧ソ連諸国の担当業務はでき、実務上は何の支障もありません。私の会社ではコンプライアンス上、外部とのメールには全て上司をコピーに加えなくてはならない為、必然的にやり取りは全て英語となります。会議でも共通言語は英語です。

業務上でロシア語を使う場面としては、出張時に取引先の現場レベルの人と話をする時、英語が出来ない研修生が来日した時、取引先のVIPが来日した時のアテンドぐらいです。

しかし、私はロシア語が出来ることは大きな強みになると考えています。

私の会社にはロシア語を勉強したことがある人はたくさんいますが、実際に運用できる人はほとんどいません。その為、「旧ソ連関連の業務といえば、Cだ」というように、社内では一種のキャラクターとして定着しています。この会社にいる限り、ずっと旧ソ連関係の業務に関わっていけると思います。

また、ロシア語が出来るというだけで、取引先の人達の受け入れ方が違ってきます。旧ソ連は多くの性質の異なる民族がロシア語という共通項で繋がっています。ロシア語が出来るのなら自分たちと同じ思考回路で理解し合える相手だという事になり、何国人であるかはあまり関係なくなり、良好な人間関係を築くことができます。私の取引相手は年配の男性ばかりですが、業務外ではまるで娘のように可愛がってもらっています。現地の人から信頼され、生の声を聞き、日々の業務に活かしていくことで、仕事の質を高めることが出来ると思います。

ロシア語以外に求められる資質

ロシア語に限らずですが、語学力というのは、何かをするためのツールです。語学が出来なくても海外営業で活躍している人はいます。

特に営業に必要なのは人を巻き込む能力だと思います。自分の仕事に同意、協力してくれる人、つまり味方を社内外に作ることです。味方がたくさんいれば、どんな時でも業務はまわっていきます。自分の軸はしっかりと持ちつつ、考えの違う相手や苦手な相手と調和することも時には必要です。

特に特殊言語ができる人は変わり者というレッテルを貼られやすいので注意が必要です。羨みや妬みも混じっているのでしょうが、語学力だけの人は他の人に比べて厳しい目で見られているように感じます。

就職情報の収集方法

1)インターネット、2)大学の就職支援室、3)セミナーへの参加で情報を入手していました。1)に関しては就職支援サイトに登録し、希望職種の検索、説明会の情報入手に使っていました。2)については、窓口の人に希望を伝え、良い求人が無いか相談に乗ってもらっていました。3)については、大きな会場でのイベントに数回参加しました。しかし、これについてはあまり多くの回数足を運んでも時間と交通費の無駄だと感じました。ある程度就活の雰囲気をつかむぐらいで良いと思います。

希望の企業が見つかったら、インターネットの情報で自分なりに研究し、面接で知りたい事を質問すると良いです。選ぶ権利は学生側にもあり、面接は双方の疑問点をクリアにする絶好の機会です。

後輩へのコメント、学生時代にしておくべきこと

「ロシア語を勉強しました」と言うからには、使えなくてはなりません。学生時代に文法と語彙をしっかりと身につけ、ロシア語を母語とする人達との関わりに積極的に参加しておくとよいと思います。私の専門はロシア文学であるため、仕事で出会う単語は聞いたことが無いものばかりでした。しかし、これは業務に慣れていくにつれ問題とならなくなってきました。とにかく基礎固めが重要です。

新入社員が仕事に不慣れなのは当たり前なので、学生時代から就職の為だけにスクールに通ったり資格を取ったりしておく必要は無いと思います。

社会人になると、じっくりと物事に取り組む時間は取りづらくなります。今興味があることに、ぜひ真剣に取り組んでみてください。卒論の研究や留学など、何かに一生懸命打ち込んだ記憶は財産としてずっと心に残り、自分を形成する軸となります。